あのね帳

長めの独り言

紡いで、合わせて

 嗚呼、愛されてるなあ。と沁々幸せな気持ちだ。ありがとう。をどうしても伝えたい気持ちだ。冷えた手を握り合って互いがだんだんと温まるような、そんなじんわりと広がる嬉しさを忘れたくなくて、いつかまた思い返す時のために大事に取っておきたくて、CDデビューから1年というこの節目の日に拙いながらも文章にして仕舞おうとしている。

 少し前、夜中にSixTONESのことを考えていたら居ても立っても居られなくなってしまい『Lifetime』を和訳した。英語を自在に操れるわけでもないし、かなり意訳に振っているので文法的に正確とは言えないけれど、これは言うなれば心の動きの記録だ。CDを聴き歌詞カードを見て、さらにライブパフォーマンスを観た時の印象や雑誌での発言なども含めて、この時のわたしはこんなふうに受け取ったよ、と自分で言葉にしておきたかったのである。何を想って訳したのか、6人の声の好きなところや歌詞から色々と考えたことも、少しずつ書き留めておこうと思う。

 

 

 

Don’t be scared, Take my hand

I’ll hold you down to the end

Make it through ups and downs

Don’t look back, We’ll stand strong

  怖がらないで 僕の手をとって

  最後のその時まで離さないから

  浮き沈みも超えてゆこう

  振り返らないで 共に強く生きてゆこう

 

 空から降ってくるようなふくよかなジェシーの歌声で曲は始まる。 “I’ll hold you down to the end” まずこのフレーズにやられてしまった。必ずやって来る終わりを無視することはできないけれど「最後のその時まで」と約束をくれるなら、過ぎゆく時間の愛おしさもひとしおだ。柔らかでありながら芯のあるその声は、安心とともに強く在る力を運んできてくれる気がする。

 

 

夜の片隅で 肩を寄せて

We are one, We are one tonight

  夜の片隅で 肩を寄せて

  僕らひとつ 今宵ひとつだ

 

 先の見えない苦しさや暗闇のなかに独りぽつんと居るような感覚が、曲中に度々出てくる「夜」という言葉には含まれているのではないかなと思う。慎ちゃんの甘く繊細な声には、不安を隠さず寄り添ってくれるような、弱さを認めた強さと優しさがある。

 

 

Cause now you’re my blessing of a lifetime

君と超えてく Hard times

We’re gonna make it last forever

Let’s promise we’ll look out for each other

今も 忘れない 変わらない Memory

君と生きてく Lifetime

My lifetime

  君は天が授けてくれた僕の大切な人だから

  君と超えてく 困難も

  永遠をかたちにしよう

  互いを守りあうことを誓うんだ

  今も 忘れない 変わらない 思い出

  君と生きてく 一生

  僕の生涯を

 

 サビへ入り、詞に乗せられる想いの質量はさらに大きくなるように思う。 “Cause now you’re my blessing of a lifetime” の訳には特に悩んだ。「神の恵み」「授かりもの」といったニュアンスを崩したくなかったことと、この後もサビ頭で繰り返される “Cause now you’re my〜” というフレーズのことを考えると「僕の」という言葉は必ず入れたいと思ったことでこの訳に落ち着いた。冒頭のジェシーパートで “to the end” と歌っているとおり、やはり「最後」はたしかに存在する。のに、 “We’re gonna make it last forever” ときょもちゃんが歌うの、本当ニクいなあと思う。こんなにもロマンチックな言葉がしっくりとフィットして、しかも聴く人に本気を伝える説得力を持たせる歌い方ができる人はなかなかいないんじゃあないだろうか。

 そしてサビ後半は、タイトルでもある “Lifetime” で印象的に締め括られる。曲中に14回も登場するこの言葉をどう訳すかと迷い考え、最終的には文脈に合わせて「一生」「生涯」「人生」を使い分ける形にしたのだけれど、1番のこの北斗くんパートは初めから自分のなかで答えが決まっていた。少し強い言い方をするとここは「死ぬまで」という空気を纏ったパートだと感じたから。 “Lifetime” という言葉が持つ「寿命」「生きている間」といった有限なイメージを色濃く表現できるのは、彼の声の湿度感や普段見せるキャラクターに拠るところも大きいと思う。

 

 

Just call my name, When you need me

I’m right here, Oh, Stay with me

  君が必要とするときには ただ僕の名前を呼んで

  僕はここに すぐそばにいるから 君にもいてほしい

 

 樹ちゃんの切なげな声で「必要な時に名前を呼んで」と歌われるとどうしても、度々聞かれる諦観したような彼の発言と重ねずにはいられずたまらなくなってしまう。ただ、だからこそ “Stay with me” の一言に救われる。これほど沢山のものをくれるのにたったひとつの頼みが「そばにいて」だなんてそんな...と、あくまで歌詞だということは分かっていても、キュッと心臓のあたりが締め付けられる感覚が消えない。

 

 

時の旋律に 声を重ね

Sing for you, Sing for you tonight

  時の旋律に 声を重ね

  君に 今宵君のために歌うよ

 

 髙地くんは、一直線に心に飛び込んでくる声の持ち主だ。澄んだトーンとざらりとした質感が同居していて、それが独特の魅力に繋がっているなあといつも感じている。「君のために歌う」といういかにもアイドルらしくストレートなフレーズは、彼の喉を通ることで輝きを増し、まっすぐに届くのだと思う。

 

 

Cause now you’re my treasure of a lifetime

星も見えない Long nights

We’re gonna make it through together

Know I will be there for you whenever

明日へ 進めない 時には Just lean on me

紡ぎ合わせる Lifetime

My lifetime

  君は僕の一生の宝ものなんだ

  星も見えない 長い夜も

  僕らは共に乗り越えてゆくんだ

  僕はいつだって君のためにいるよ わかるだろう

  明日へ 進めない 時には 僕に寄りかかって

  紡ぎ合わせる 人生

  僕の生涯を

 

 ここでまた「夜」である。曲中の主人公「僕」は、夜にはいつも「君」と一緒だ。他に頼りも無いひとりぼっち同士の支え合い、いやむしろ縋り合いと言ってしまってもいいかもしれない。「僕」にとって「君」はのっぺりと広がる暗闇に射し込むひとすじの光のような存在。そして「君」にとっての「僕」もそうで在りたいという願い、そうで在ろうという気概を示しているのではないかなと思う。祈りの歌でもあり、力強い意思表明の歌でもあると感じた。

 個人的にいちばん心に染み込んだフレーズも2番サビにある。「紡ぎ合わせる」という言葉。ぼんやりとしか意味を捉えられていない気がして調べてみると、細い糸どうしを撚り合わせて丈夫な糸にするという意味があるそうだ。一人ひとりでは弱い「僕」と「君」が互いの人生に寄り添い合って生きる、そんな “Lifetime” 。この曲がファンに向けられたものであることを噛み締めつつこのフレーズを聴くと、喜びと同時に背筋が伸びるような思いがする。

 

 

あの出会いも あの別れも

全て Once in a lifetime

また答えに 近づいてく

Tonight

  あの出会いも あの別れも

  全て 一生に一度きりのこと

  また答えに 近づいてく

  今宵

 

あの涙も あの笑顔も

全て Once in a lifetime

また明日が 輝き出す

Tonight

  あの涙も あの笑顔も

  全て 一生に一度きりのもの

  また明日が 輝き出す

  今宵

 

 もっとずっと先にこの曲を聴ける時がまた来たら、きっとここで走馬燈のようにあらゆる場面が蘇って頭に浮かぶんだろうな...と想像できる。今でさえ、センチメンタルな気持ちになることを抑えるのが難しいくらいだ。ただ、後半に「また答えに 近づいてく」「また明日が 輝き出す」と未来の話をしてくれるのが嬉しい。「君」と「僕」は前を見据えている。6人の旅路は、振り返るにはまだ早いよね。

 

 

Cause now you’re my pleasure of a lifetime

Me & You, We’ll be sharing our lives

With you right here, Everything is alright

It all makes sense when I look in your eyes

  君は僕の生きる歓びなんだ

  僕と君とで 人生を分かち合ってゆこう

  君となら 何もかもがうまくいくよ

  君の瞳を覗いたその瞬間 全てわかったんだ

 

 繰り返される “Cause now you're my〜” フレーズの最後の1つがここで登場する。3つとも全て、そっくりそのままSixTONESに贈りたいほど贅沢な言葉たちだなあと思う。祈りを捧げるような表情で歌っていたあの時、頭には何があったんだろう。今もon eSTの光景を思い出しては考えてしまう。

 

 

ここから重なる Lifetime

君と超えてく Hard times

共に歩く理由は

いつでもここにあるんだ

今も 忘れない 変わらない My memory

君と生きてく Lifetime

  ここから重なる 人生

  君と超えてく 困難も

  共に歩く理由は

  いつでもここにあるんだ

  今も 忘れない 変わらない 僕の記憶

  君と生きてく 一生

 

静かに過ぎてく Lifetime

星も見えない Long nights

君と描く未来は

輝き続けてるんだ

明日へ 進めない 時には Just lean on me

紡ぎ合わせる Lifetime

My lifetime

  静かに過ぎてく 生涯

  星も見えない 暗くて長い夜も

  君と描く未来は

  輝き続けてるんだ

  明日へ 進めない 時には 僕に寄りかかって

  紡ぎ合わせる 人生

  僕の生涯を

 

 「ここから重なる」という歌詞とリンクして、ここへきて初めて全員の声が重なる。英語詞が中心だったサビのメロディーに乗せて綴られる日本語詞は、その重みをより増しているように感じる。SixTONESの曲は全体に英語詞が多いので、解釈の幅を拡げてこちらに委ねてもらえる楽しさと、だからこそ、でもあるのか日本語詞の方も選りすぐりの言葉が丁寧に並んでいる美しさがあって、何度も聴き返したり読み返したりしたくなる歌詞ばかりだ。

 ラスサビまで聴いて真っ先に頭に浮かんだのは、こんなの、プロポーズじゃないか...だった。映画のエンドロールで流れるイメージだというのにも納得で、音数の少ない出だしから曲が進むにつれ壮大になってゆき、全てを包み込むような大きな愛でアルバム共通曲のラストが締め括られる。この曲は一見「君」と「僕」というふたりの登場人物のラブストーリーのようだけれど、この「君」は誰にでもなれる。彼らが「ファンに向けて」と選んだのならば、SixTONESを愛してやまないわたしたちも、一人ひとりが「君」なのだ。

 

 

Don’t be scared, Take my hand

I’ll hold you down to the end

  怖がらないで 僕の手をとって

  最後まで君を守り抜いてみせるよ

 

 アウトロでAメロが再び繰り返される展開はメンバーの提案だそうで、最後まで聴き終わった後のたっぷりとした余韻を味わう度に嬉しくなる。わたしは冒頭の同じフレーズはどちらかと言えば前に立つ「僕」が振り返って手を差し伸べているような印象で、最後には隣に並んだふたりが手を取りあっている画が浮かぶなあと感じている。

 

 

 

 すぐそばをとは言わないから、隣を歩かせてほしいな、と思う。

 いつも寄り添い、想ってくれていること、伝わっています。わたしは『Lifetime』を特に深い深い愛のこもったラブソングだと受け取ったけれど、作品が世に出る度に、そこに込められた愛情や思い入れに心動かされています。CDを手に取る瞬間いつも、「デビュー」の重みを感じて、1月22日に思いを馳せてしまいます。本当に音楽を大切にしているところが大好きだし、ありがとうでは足りないくらいいつも感謝の気持ちでいっぱいです。何もできないけれど、あなたたちを好きで仕方ない人間がたしかにここに居るんだということを今日表明したくて。全力のひとりごとをラブレターにしました。歓声というかたちに変えて直接届けられる日を心待ちにしながら、しばらくはまたひとりごとを言い続けようかな。